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山塊

私は黒瀬という田舎に住んでいる。黒瀬は賀茂台地の南に位置しており、勤務先の広島大学へは一時間ちょっと掛かる。帰りは大抵夜なので、両側から山が迫り小さな川が流れる谷間の道を上らなければならない。夜10時を過ぎると、あまり車も通らず信号もないので、スイスイと山道を飛ばすことが出来る。疲れると途中の空き地で一眠りしたりもする。両側から迫る山に挟まれた谷底で眠るのは実に快適だ。一山越えるとそこには熊野の町が広がる。山は遠くなるが台地にわだかまる山塊は私に何かを語りかける。私はいつも「参りました」と言う。私の大学では多くの学者達が多彩な研究をしているが、この山一つ動かすことは出来ない。自然は偉大である。しみじみそう思う。車は更に進み20分ほどで次の峠にさしかかる。昼なお日の当たらない峠を越えるとやっと賀茂台地が姿を見せる。遠くに点々と灯りが見え山にへばりついて生活する人間がいることを実感する。空が広くなり月が浮かんでいる。今夜は満月らしい。そんな毎日である。

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投稿日 : 2010年9月25日 (土)

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